はしもと先生は病気の診断をし、治療のアドバイスをしたり薬を処方したりします。でもおうちで子どもに薬を飲ませるのはお母さん、軟膏を塗るのはお母さん、食事を作って食べさせるのもお母さん、・・・・・お母さんのおかげで子どもの病気は治っていきます。
このコーナーでは小児科を受診する前に、あるいは受診した後に、お母さんが家庭でできることや、家庭の常備薬についてお話しします。

「今、熱が出ました。」
と駆け込んでくる方が多かったものです。午後の診察をやめると決めたときにはまず気になったのはそのような方々のことでした。
でも小児科医の目から見ますと、
「今夜はひとまず解熱薬を使って様子を見るといいのにな。」
と思うケースが多かったですね。
風邪の始まりは診察してもあまり所見がない場合が多く、対症療法で一晩待つことが多いものです。一番わかりやすいのがインフルエンザ・シーズンで、
「今、熱が出ました、インフルエンザですかっ?」
と勢いよく来られるのですが、熱の出始めでは検査をしてもわからないので、
「解熱薬を使って一晩待ちましょう。明日熱が下がっていればそれでいいし、まだ熱があれば検査しましょう。」
とお話しするもことになるものです。
解熱薬は家庭に常備しておき(→「家庭の常備薬」)、一晩待ってみましょう。
夜つらそうなら福井市の「こども急患センター」を受診してください。
はしもと先生も急患センターに月に2回出務しています。

病気が続いていても朝は一時的に下がっていることが多いものです。夜に熱があったのに朝下がっていたからといって保育園に行かせると、お昼にはまた熱が上がって、お呼び出しがかかることでしょう。
病気の治りかけの時も急がずに、丸1日熱がないことを確かめてから翌日行くようにしましょう。
無理をさせると風邪をこじらせてしまいますし、他の園児に風邪をうつすことになりますね。



子どもは何故か夜に熱を出すものです。急に熱が出ても安心なように、解熱薬を常備しておきましょう。
当クリニックで処方した解熱薬をいくつか保存しておくのが一番いいですね。乾燥剤と一緒に箱に入れておけば半年は大丈夫です。坐薬は冷蔵庫で保管してください。
大人用の解熱薬を子どもに使ってはいけません。
「冷えピタ」や「熱さまシート」などを貼るとひんやりして気持ちがいいでしょうが、熱を下げるほどの効果はありません。たとえ全身に貼っても無駄です。
子どもが気持ちいいと喜ぶなら貼ってあげてもかまいませんが、その程度のものだと思ってください。

当院で処方した解熱薬がないときはドラッグストアの市販薬も利用できます。
「こども用」の「ねつ(痛み)」の薬を選んでください。よく見られる商品をこちらに例示しましたので参考までに。(PDF)
「かぜ薬」「総合感冒薬」はお勧めしません。

子どもには、市販の「かぜ薬」はお勧めしません。・・・・・えーっ!!びっくり、どうしてですか?
はい、「かぜ薬」(総合感冒薬)は法律で成分がある程度決められていて、解熱薬も入れることになっていますので、熱があってもなくても解熱薬を1日3回飲むことになってしまいます。これでは必要もない解熱薬を飲むことになりますし、熱があるのかないのかわからなくなって、小児科医が診断に困ります。
子どもの熱には、必要な時だけ臨時に解熱薬を使う、というのが原則ですから、市販の「かぜ薬」は子どもには使わないようにしましょう。
休日などに咳や鼻水などでとりあえず市販薬を使いたい、という時は、解熱薬の入っていない「咳止め」などの市販薬ならいいでしょうね。

今から20年前に「赤ちゃんって ふしぎ」という本を出版しました。
赤ちゃんが生まれたばかりの若いお母さん向けに、
赤ちゃんが満1歳のお誕生日までに経験する
いろいろな心配事や病気について書きました。
幸い好評で、毎年新しい読者がこの本を
買ってくださいました。
初版からずいぶん年月が経ちましたが、
赤ちゃんに関する悩みは時代が変わっても同じで、
私が今読み返してみてもこの本の内容は古くなっていないようです。
そこでこの本の中身を1話ずつ、順にホームページに載せて
スマホで読んでもらおう、と思いました。
今の時代や新しい医学知識に合わせて少し手直しもしました。
どうぞお楽しみに。