第1話 うんち
うんちにも個性というものがある

小児科医は、毎日赤ちゃんのうんちをながめたり臭いをかいで暮らしています。こんなにうんちとつきあいの深い職業はほかにないでしょうね。

赤ちゃんのうんちは実に多種多様で、うんちにも個性というものがあるようです。

一日に5回も10回もうんちの出る子もいれば、1回しか出ない子もいます。回数が多いから病気というわけではないし、少ないから変だということもありません。

またうんちの様子も赤ちゃんによって違っていて、同じように母乳を飲んでいるのに、ある赤ちゃんはべっとりした黄色のうんちだし、ほかの赤ちゃんは緑色で白いぶつぶつが入っていたりします。

ミルクで育っている赤ちゃんでも、クリームイエローのうんちの子もいれば、パンプキンプリンのような黄色のうんちの子もいます。

どれが良いうんちでどれが悪いうんちかなどとは一概にはいえません。

元気に育っていれば、いろいろなうんちがあっていいんだと思ってください。

母乳で育つ赤ちゃんのうんちはゆるい

生後3か月ごろまでの母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちは、ゆるくて当たり前なのです。母乳は胃や腸の中で消化液とまざってもかたまりになることはなく、腸の中をスムーズに運ばれていきます。

ミルクで育っている赤ちゃんのうんちはうす黄色で、ねりもののような均質の有形便ですが、これと比べると母乳栄養の赤ちゃんのうんちはなんだか見すぼらしい(!?)感じがします。緑色のことがあったり、白いぶつぶつが混じっていたり、ぬらぬらした粘液がまじることもあって、ネトネトグチュグチュしています。

しかし、これは病的な下痢便ではありません。病的どころか、このゆるいうんちこそが赤ちゃんの理想的なうんちで、ミルクを飲んでいる赤ちゃんのコトンとしたかためのうんちのほうが不自然なのです。

さらに母乳を与えているお母さんを悩ませるのは、生後1か月をすぎるあたりから、うんちの回数が急に増えることです。うんちがゆるくて、回数が多いから、これはもう病気だろうと思ってしまうようですが、実際は母乳の出が良くなったためにうんちの量が増えただけのことが多いのです。

これは「下痢」なのかしら?

うんちがゆるくなったとき、それが病気のためかどうか見分ける大事なポイントは、赤ちゃんが元気かどうかです。

機嫌はよいか、体重は順調に増えているか、母乳(ミルク)をよく飲むか、顔色はよいか、など落ち着いて観察してみてください。いつもの様子と変わりがなければ、まず大丈夫です。

うんちの色は、病気かどうかということとはあまり関係がありません。うんちの色はいろいろな条件によって影響を受けるのですが、一番関係が深いのが胆汁色素です。

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赤ちゃんってふしぎ
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